観音菩薩(かんのんぼさつ)

正式名:観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)

仏像における菩薩の一つ

サンスクリット名:アバローキテーシュバラ

別称:観自在菩薩(かんじざいぼさつ)

別名:救世菩薩(くせぼさつ)など多数

通称:観音さま


 観音菩薩(かんのんぼさつ)は、仏像における菩薩の一つ

 観音菩薩は「観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)」を略した名前とされる
 「般若心経」では「観自在菩薩(かんじざいぼさつ)」とも記される

 美しく現世利益がある菩薩で、世の中の全ての人を救うために33の姿に変身し、広く信仰されている

 菩薩とは、まだ悟りの境地にはない修行中の仏
 現在は、仏教の世界の真ん中にある須弥山(しゅみせん)の上空にある兜率天(とそつてん)という天界で修行をしている最中
 56億7000万年後に菩薩から如来になれるとされる

【観音菩薩】

 <サンスクリット語(梵語)での名前>
 アバローキテーシュバラ
 アバローキテは「観じる」「観察された」
 シュバラは「音・声」「自在者」

 苦しみの中にいる衆生が一心に観音の名前を念じると、直ちにその「音」を「観」じて救われるといわれる
 「観」とは、この世で苦しむ人々の姿を正しく見るという意味もある


 <説かれている経典>
 観音菩薩について説かれた仏教経典は数多い

 「妙法蓮華経観世音菩薩普門品第二十五(法華経の中の観音経)」や
 「十句観音経」(観音経の略本といわれる)には、
 後半に「常に願い疑うことなかれ」と大慈悲で救われることを約束されていると記されている

 「般若心経」には、冒頭に観音菩薩が登場し、般若の智慧の象徴にもなっている

 「悲華経」によれば、
 阿弥陀如来が出家さる前に王様だった頃、たくさんの子供がいて、その長男が後に出家して観音菩薩となったと説かれている
 阿弥陀如来が出家して、仏の悟りを開かれたあと、次に仏のさとりを開くのが観音菩薩だとも説かれ、
 多くの経典に、阿弥陀如来の脇侍であると説かれていル

 「金剛恐怖集会方広儀軌観自在菩薩三世最勝心明王経」には、
 「無量寿如来は、諸の相好を具し、光明熾盛なり。仏の右辺に於いて、観世音自在菩薩あり」と説かれている
 「無量寿如来」とは阿弥陀如来のことで、その右側の脇侍が観音菩薩だと説かれる

 「華厳経入法界品」には、善財童子が補陀洛迦山(ふだらくせん)にて生身の観音菩薩から説法を聞く一説があり、
 各地の霊山が「補陀洛迦山」とされ観音菩薩の霊場とされる

 浄土宗では「観無量寿経」で説かれ、
 勢至菩薩と共に脇侍として阿弥陀如来の住まいの極楽浄土におられ慈悲による救いを助けておられる


 <阿弥陀如来の慈悲の現れ>
 観音菩薩は、阿弥陀如来の本願の「すべての人を必ず絶対の幸福に救う」を説く
 観音菩薩は、阿弥陀如来の本願を求める人を守る菩薩とされる

 <阿弥陀三尊>
 阿弥陀如来を真ん中に、左脇侍に観音菩薩、右脇侍に勢至菩薩を並べて祀られる


 <ご利益>
 天台宗を開いた智ぎ(ちぎ)が「七難を免れられる」としてまとめて説いている
 火難・水難・羅刹難(らせつなん)(悪い鬼による苦しみ)・刀杖難・鬼難(死んだ者の霊による苦しみ)・
 枷鎖難(かさなん)(手錠や鎖でとらわれる難)・怨賊難

 <十種勝利>
 「十一面観自在菩薩心密言念誦儀軌経」による十一面観音菩薩による現世での利益
 無病、発熱などを起こさない、溺死しない、焼死しない、毒薬・毒虫に当たらない、不慮の事故で死なない、
 すべての如来に受け入れられる、王宮で国王や王子に慰労してもらえる、すべての怨敵から厄いを受けない、
 すべての凶器による害を受けない、金銀財宝や食物などに不自由しない

 <四種功徳>
 「十一面観自在菩薩心密言念誦儀軌経」による十一面観音菩薩による来世での果報
 臨終のときに如来に会うことができる、来世で早死にしない、来世で地獄・餓鬼・畜生に生まれ変わらない、
 来世で極楽浄土に生まれ変わる

【変化身】

 <普門示現(ふもんじげん)>
 広く衆生の性格や仏の教えを聞ける器に応じて様々な形体に変化すること
 「法華経」「観音経」には、観世音菩薩はあまねく衆生を救うために、相手に応じて「仏身」「声聞身」「梵王身」など
33の姿に変身すると説かれている


 <六観音>
 六道のそれぞれの衆生を救うための6体の観音
 あらゆる生命は6つの世界で生まれ変わりを繰り返すといわれる六道輪廻(ろくどうりんね)の思想に基づく

 <聖観音菩薩>
 餓鬼道の観音
 多様な姿をもつ観音の基本形で一面二臂、ほぼ人間と同じ姿をしている
 観音信仰で生まれてきた様々な変化観音と区別するために「聖観音(正観音)」と称される

 <千手観音菩薩>
 地獄道の観音
 千本の手で、苦しむ広範囲の人々を救済する
 奈良時代から篤い信仰を集めるようになった
 千手千眼観世音菩薩とも称される
 42臂の仏像が多く、胸前で合掌する2臂を除く40本の手が1手につき25の衆生を救うとされ、40x25で1000になる
 2本は宝の鉢を持ち、残りの38本の手には宝珠や蓮華など衆生を救うための様々な道具を持っている
 頭の上に11面の化仏をのせて、本面に三眼を持ち、掌にそれぞれに一眼ずつ持つ
 それぞれの手には、日・月・輪宝・宝珠・弓などを持つ

 <馬頭観音菩薩>
 畜生道の観音
 馬が周囲の草をむさぼるように、すべての魔や煩悩をうち伏せて人々を救済する
 恐ろしい忿怒相で、体の色は赤、頭上に白馬頭をのせ、三面三目八臂の立像が多い
 手は、胸前で馬の口を模した「馬頭印」という印を組む

 <十一面観音菩薩>
 修羅道の菩薩
 あらゆる方向に目を向けて人々の苦しみを見逃すことなく救済する
 頭部に小さな十一の面相がつけられている
 正面の三面は、穏やかな慈悲の菩薩相
 左の三面は、恐ろしい怒りを持つ瞋怒相
 右の三面は、菩薩相に似ていて、上方に牙をむき出している白牙上出相
 後部の一面は、大笑している大笑相
 頭頂には、正面を向いて、如来相が付けられている
 左手に水瓶を持ち、右手は前に向けて開く施無異手になっている

 <准胝観音菩薩>
 人道の菩薩真言宗東密系)
 修道者の守護、無病息災、延命、安産・子宝などの現世のご利益がある
 人々の心の働きを清浄にして、悟りに導いて数限りない仏を誕生させるという
 本来の名前は「七倶胝仏母(しちぐていぶつぼ)」と称され、観音ではなく菩薩の母であったとされる
 一面三目十八臂で、中央の手は説法印と施無畏印を結び、武器や数珠、蓮華などを持っている

 <不空羂索観音菩薩>
 人道の菩薩天台宗台密系)
 観音が持つ大慈悲の網で、煩悩の世界で苦難するすべての人々をもらさず救済する
 一面三目八臂で、鹿の毛皮を身にまとう立像、坐像が多い
 胸の前で二手が合掌し、二手は与願印を結んでいて、その他の四手には、網や綱の羂索や蓮華などを持つ

 <如意輪観音菩薩>
 天界道の菩薩
 どこにでも現れ、六道の衆生の苦を除き、全ての願いを叶えてくれる
 一面六臂が多く、ほとんど坐像か、脚を組む半跏趺座で、立像は少ない
 右手を頬や顎に当て、一手は胸前に如意宝珠を持ち、一手は肩上に掲げた指先に法輪(輪宝)をのせている
 如意宝珠によって全ての願いを叶え、法輪によってあらゆる煩悩を打ち砕くといわれる


 <観音三十三身>
 「法華経 観音経」には、観世音菩薩はあまねく衆生を救うために、相手に応じて33の姿に変身すると説かれている

 三十三観音のうちの十五尊観音
  白衣(びゃくえ)・瑠璃(るり)・葉衣(ようえ)・水月(すいげつ)・楊柳(ようりゅう)
  持経(じきょう)・多羅(たら)・滝見(たきみ)・龍頭(りゅうず)・青頚(しょうけい)
  円光(えんこう)・遊戯(ゆげ)・蓮臥(れんが)・施薬(せやく)・阿摩提(あまだい)

 残りの三十三観音
  延命(えんめい)・蛤蜊(こうり)・魚籃(ぎょらん)・岩戸(いわと)・馬郎婦(めろうふ)
  徳王(とくおう)・阿耨(あのく)・灑水(しゃすい)・持蓮(じれん)・能静(のうじょう)
  一葉(いちよう)・六時(ろくじ)・合掌(がっしょう)・普悲(ふひ)・不二(ふに)
  一如(いちにょ)・威徳(いとく)・衆宝(しゅうほう)

【ゆかりの地】

 国宝になっている観音菩薩像

 <三十三間堂
 洛陽三十三所観音巡礼第17番札所(十一面千手千眼観音菩薩)
 木造 千手観音菩薩坐像(国宝)
 木造 十一面千手千眼観音立像 1,001躯(重要文化財)

 <広隆寺
 木造 不空羂索観音菩薩立像(国宝)
 木造 千手観音菩薩立像(国宝)
 木造 聖観音立像(重要文化財)
 木造 千手観音坐像(重要文化財)
 木造 如意輪観音半跏像(重要文化財)

 <六波羅蜜寺
 西国三十三所観音霊場第17番札所
 洛陽三十三所観音巡礼第15番札所(十一面観音菩薩)
 十一面観音菩薩立像(国宝)

 <観音寺
 木心乾漆 十一面観音菩薩立像(国宝)

 <三千院
 観音菩薩坐像(国宝)

 <願徳寺
 京都洛西観音霊場第33番札所
 如意輪観世音半跏像(国宝)

 <法性寺
 洛陽三十三所観音巡礼第21番札所(二十七面千手観音)
 木造 千手観世音菩薩像(国宝)


 国宝になっている観音菩薩の絵画

 <高桐院
 絹本墨画 山水図 2幅 附 絹本墨画 楊柳観音菩薩像(国宝)


 重要文化財になっている観音菩薩像

 <穴太寺
 西国三十三所観音霊場第21番札所
 木造 聖観音菩薩立像(重要文化財):身代わり観音

 <醍醐寺
 西国三十三所観音霊場第十一番札所(准胝観音菩薩)
 木造 千手観音立像(重要文化財)
 木造 如意輪観音坐像(重要文化財)
 線刻 如意輪観音等鏡像(重要文化財)

 <清水寺
 西国三十三所観音霊場 第16番札所(千手観音立像)
 洛陽三十三所観音巡礼
   第十番札所(善光寺堂)(如意輪観音菩薩)
   第十一番札所(奥の院)(三面千手千眼観音菩薩)(重要文化財)
   第十二番札所(本堂)(十一面千手千眼観音菩薩)
   第十三番札所(朝倉堂)(十一面千手千眼観音菩薩)
   第十四番札所(泰産寺)(十一面千手千眼観音菩薩)
 木造 十一面観音立像(本堂秘仏本尊の御前立)(重要文化財)
 木造伝 観音菩薩・勢至菩薩立像(重要文化財)

 <因幡薬師堂 平等寺
 洛陽三十三所観音巡礼第27番札所(十一面観音菩薩) 
 木造 如意輪観音菩薩坐像(重要文化財)

 <仲源寺
 洛陽三十三所観音巡礼第16番札所(千手観音菩薩)
 木像 千手観世音菩薩坐像(重要文化財)

 <廬山寺
 洛陽三十三所観音巡礼第32番札所(如意輪観音菩薩)
 木造 如意輪観音半跏像(重要文化財)

 <清和院
 洛陽三十三所観音巡礼第33番札所(聖観音菩薩)
 木造 聖観音菩薩(重要文化財)

 <泉涌寺
 洛陽三十三所観音巡礼第20番札所(楊貴妃観音菩薩)
 木造 聖観音菩薩坐像(重要文化財):楊貴妃観音

 <正法寺
 京都洛西観音霊場番外札所(三面千手観世音菩薩立像)
 木造 三面千手観世音菩薩立像(重要文化財)

 <安祥寺
 木造 十一面観音菩薩立像(重要文化財)

 <峰定寺
 木造 十一面千手観音菩薩像(重要文化財)

 <平等院
 木造 十一面観音菩薩立像(重要文化財):釣殿観音(つりどのかんのん)

 <大報恩寺 千本釈迦堂
 木造 六観音菩薩像:聖観音菩薩・千手観音菩薩・十一面観音菩薩・馬頭観音・准胝観音・如意輪観音の(6体とも重要文化財)
 木造 千手観音菩薩立像(重要文化財)

 <延暦寺
 木造 聖観音菩薩立像(重要文化財)

 <遍照寺
 木造 十一面観音菩薩立像(重要文化財)

 <宝積寺
 木造 十一面観世音菩薩立像(重要文化財)

 <浄瑠璃寺
 木造 馬頭観音菩薩立像(重要文化財)

 <寿宝寺
 木造 十一面千手千眼観世音菩薩立像(重要文化財):実際に千の手を持つ千手観音三大名作の一つ

 <海住山寺
 木造 十一面観音菩薩立像(重要文化財):木から削り出したまま
 木造 十一面観音菩薩立像(重要文化財):奥の院の本尊

 <金戒光明寺
 洛陽三十三所観音巡礼第6番霊場(千手観音菩薩)
 木造 吉備観音菩薩(重要文化財)

 <粟生光明寺
 京都洛西観音霊場第七番札所
 木造 十一面千手観音菩薩(重要文化財)

 <鞍馬寺
 木造 聖観音菩薩立像(重要文化財)

 <法金剛院
 木造 厨子入 十一面観音菩薩坐像(重要文化財)

 <地蔵院
 木造 千手観音菩薩(重要文化財)

 <西明寺
 木造 十一面千手観世音菩薩立像(重要文化財)

 <月輪寺
 木造 十一面観音菩薩立像(重要文化財)
 木造 千手観音菩薩立像(重要文化財)
 木造 聖観音菩薩立像(重要文化財)

 <雨宝院
 木造 千手観音菩薩立像(重要文化財)

 <細見美術館
 木造 聖観音菩薩立像(重要文化財)


 重要文化財になっている観音菩薩の絵画

 <天龍寺
 絹本著色 観世音菩薩像(重要文化財)

 <松尾寺
 西国三十三所観音霊場 第29番札所(馬頭観世音菩薩坐像)
 絹本著色 如意輪観音菩薩像(重要文化財)

 <萬福寺
 絖本淡彩 観音図 1帖(18図)(重要文化財)
 木造 白衣観音菩薩坐像


 その他、観音菩薩が祀られている寺院など

 <西国三十三所観音霊場
 <洛陽三十三所観音巡礼
 <ぼけ封じ近畿十楽観音霊場
 <新西国三十三箇所観音霊場
 <京都洛西観音霊場
 <近畿楽寿観音霊場

【その他】

 祇園祭の山鉾にも祀られている

 <南観音山
 宵山の最終日の深夜にあばれ観音が行われる

 <北観音山
 楊柳観音菩薩像と韋駄天が祀られている

 <太子山
 樹には、小さな如意輪観音菩薩像が祀られている


 <二十八部衆
 千手観音の眷属で、千手観音を信仰する人を守る28部の善神


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